2017年11月23日

息がつまる

呼吸することはわかちあうこと…わたしたちはみんな、おなじ空気を吸っているのですから。体の具合がわるいとき、のどかどこかに塊ができて息がつまるような感じがすることがあります。

ちょうど、なにかさしさわりができて、感情を思いどおりに表現するのをとめられたときとおなじ感じです。そういうときは身体に力が入ってぎくしゃくし、いいかけた言葉を呑みこみ、息をあえがせますね。

息を吐きだせば(空気をわかちあえば)、たまりにたまった苦しい思いから解放されます。で、息を吐く、とたんに、感情が爆発。メソメソからはじまり涙がボロボロとまらず、ついには泣きさけび、ふだんは負けまいとしておさえている感情です。かんたんな実験をひとつ。

危険に直面して身がまえるみたいに筋肉を緊張させてごらんなさい。それから、危険が去ったところを想像して、力をふっとぬいてみましょう。さてこのとき、あなたは息をとめ、それからほっと吐きだしたんじゃないですか?

大部分の人は、ごく自然にこうした反射的行動をとっているので、自分がどう行動しているか、気づいてもいません。

感情を抑制してみても、その状態を長く保つことはまずできませ4 6ん。扉を閉めて感情の激流をせきとめてみても、感情の水圧はぐんぐんと高まり、ついには扉を押しやぶって外に流れだします。そして、突然泣きだしたり、怒りが噴きだしたり、となるわけです。

感情の爆発とともに、息はすさまじい勢いで一気に吐きだされ、そあとしばらくは息ができず、ときには声さえ出なくなります。感情の激流に身をまかせたあとでは、自分のもろさをまる裸でさらしてしまったかのように感じ、それから、きまりわるさや後悔、罪悪感や恥辱感といった、感情のなかでもとりわけ不快な感情にとらえられてしまうのです。

極端な場合には、パニック発作が起きる可能性さえあります。すると気道がふさがれたような感じがして、いまにも窒息しそうになってしまうのです。

こうした発作はたいてい、なんらかの不安がどんどん大きくなった結果起こります。もしかすると、わたしたちは不安というものにあんまり慣れすぎてしまったのかもしれません。

だから、たかが不安でも急速にふくれあがったらどんなことになるかなどということには、注意を向けもしないできたのです。パニックの最中に正しく呼り及するなんて、とんでもない難題に思えるかもしれません。でも、パニック発作をのりこえる方法のひとつは、深く呼吸することに全神経を集中することです。吸いこんだ空気が気道をふさいでいる塊をすこしずつくずしてくれる、と考えましょう。一息ごとに、より多くの空気が体のなかに通るようになり、最後には深い深い呼吸ができるようになって、体はまたゆったりとリラックスしてきます。

心の奥底に根深くはびこった恐怖がなにかのきっかけで突然表面化し、息もつまりそうなパニックがひきおこされることがあります。

飛行機での移動がこわい人が、離陸の瞬間にパニックを起こすこともありますし、閉所恐怖症の人がエレベーターの扉が閉まった瞬間にパニックの発作におそわれ、過呼吸症候群におちいることもあるでしょう。

この種の病的な恐怖症を克服するには、場合によっては何年もかかります。克服法としてはさまぎまなテクニックがあり、成果のほどもさまざまです。

たとえば催眠療法を受ける人もいるでしょうし、すこしずつ時間をかけて自分に自信をつけるような方法を選ぶ人もいます。

つまり、まずは恐怖を感じさせる状況を冷静に外から観察し、つぎの段階でその状況をシミュレートし、最終段階でじっさいにその状況を体験してみる、といった段階的な克服法です。どんなアプローチをとるにせよ、自分の呼吸のしかたに神経を集中するのは、恐怖感の克服に効果的です。

ふだんから意識して、深く自然な呼吸ができるよう練習し、頭の中で、自然な呼吸と恐怖からの解放とをカップリングしておくのです。そうすれば、いぎパニックにおそわれても、呼吸することによって注意力が一点に集中し、一瞬冷静になることができるようになります。

わたしたちは、息を殺すことによって感情を押さえこみ、パニックに拍車をかけるだけではありません。息を殺すとき、わたしたちは自分の声さえ殺してしまいます。発声の専門家バツイ・ローデンバーグの考察によれば、「適切な呼吸を欠けば、言語へのかかわり方に破綻がおきる」ということです。

発声の能力の減退と不自然な呼吸とは切っても切れない関係にあります。言葉をはっきり発音する能力がおとろえれば、どもったり、ひとつの語とつぎの語とをくっきり分けることができずに、モゴモゴと不明瞭なしゃべり方になってしまいます。

声の調子も不自然に甲高くなるか、さもなければ異常にかすれてきます。事実、恐怖にちぢみあがった状態では、声がまったく出なくなってしまうことだってあります。
posted by relux at 16:26 | Comment(0) | リラクゼーション
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